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オットーネ通信(第26回)
土地を探る ~トスカーナ州エンポリ編~

先日、3月20日(日)に1月から延期となっていたトスカーナのテヌータ・パレンティーニの試飲会を開催いたしました! ご参加いただいた皆さまありがとうございました。

参加者のみなさんの興味はさまざまで、味わいそのものをじっくり楽しむ方、アッビナメントについて考えをめぐらす方、造り手の話に耳を傾けてくれる方と、それぞれの視点で魅力を見つけていただいたようです。楽しみ方って本当に十人十色ですね

私はと言うと、ワインの生産地がどんな場所で、どんな背景を持っているのかについて興味があります。

なのでこの試飲会に先立って、ワイナリーの当主リッカルドさんに、

ワイナリーのあるEmpoli(エンポリ)ってどんな土地?と聞いてみました。

ワインの味わいや印象に映し出される土地の歴史や地理的な特徴を紐解いていくのっておもしろいな~と思います。そして何より旅をするような気分でワインを味わえるのが楽しい! 

試飲会ではかいつまんだご紹介となりましたが、今日はここでじっくりエンポリという土地について見ていきたいと思います。

 

フィレンツェから西へ約30分 ヴィンチ村お向いの農業の町

▲画像は https://www.tuscany.co/guide-empoli-area/empoli.html#! より

さて、皆さんのなかに、「エンポリ、知ってるよ!」という方はどのくらいいるでしょうか。ざっと分かりやすいところで言うと、こんな場所です。

・内陸のフェレンツェと海沿いのピサの中間地点にあたる。フィレンツェからシエナに行くときの分岐点となる町。

・フィレンツェ県の中では3番目に多い。(人口約4万8千人)

・プロサッカーチーム、エンポリFCの本拠地がある。

・レオナルド・ダ・ヴィンチが生まれたヴィンチ村の向い、アルノ川を挟んで南側にある。

・農業が盛んな地域。特にアーティチョークが有名。

▲画像は http://www.tenutaparentini.it/ より

アルノ川沿いの中心街から南へ進むと平坦な土地が広がり、さらになだらかな丘陵地帯へと続いていきます。ブドウの栽培は丘の斜面を利用して行われています。

ワインの話をすると、DOCGキャンティ、トレッビアーノ・トスカーノで造るDOCビアンコ・デッレンポレーゼの生産地として知られています。よく知られている高級産地のような知名度はありませんが、ワイン生産の歴史は古く、トスカーナのワイン文化を下支えしてきたエリアです。

 

*ここから先は、リッカルドさんからのお話に一部捕捉をしながら書いていきます。

古代エトルリア時代に始まったワイン造りの歴史

南イタリアで古代ギリシャ人がヴィティス・ヴィニフェラ(ヨーロッパ品種のワイン用ブドウ)を植えたとされる紀元前8世紀頃、中部イタリアではエトルリア人がギリシャ人とは別の方法でワイン造りを始めました。彼らはワインの持つ特性(酔いの効果など)に惚れ込み、この土地の主要な作物の一つとしました。

このエンポリでブドウ栽培が行われるようになったのも古代エトルリア時代であろうと考えられています。隣の自治体カプラーイア・エ・リーミテのエトルリア人集落の遺跡ビッビアーニ・モンテレッジでは、紀元前54世紀の祭礼の際に使われた献酒用のワインカップが発見されています。

エンポリとその周辺地域における長きにわたるブドウ栽培の歴史については、数多くの文献に記録が残されています。

リッカルドさんは「記録があるということは、エンポリのワインの品質と人々の文化的な営みとの間に密接な関連があること、つまり人の手が加わることで何世紀にもわたってブドウ栽培とワイン醸造の技術が受け継がれ、今に至っているということを証明しています」と話しています。

 

エンポリのワインを地中海エリアへと広めたアンフォラ、後世に技術を伝えたレオナルド・ダ・ヴィンチ

▲画像は http://www.milliarium.it/web/lanfora-di-empoli-convegno-internazionale/ より

ローマ時代、エンポリではワイン用のアンフォラ(アンフォラ・エンポリ)の生産も盛んでした。エンポリで生産されたワインを入れたアンフォラは、アルノ川を通ってローマや地中海全域へと輸出されていました。

地中海の各地でエンポリのアンフォラが発見されていることからも、その繁栄ぶりがわかります。生産地の外で発見されるということは、ワイン生産が盛んで余剰に生産できた分を輸出することができたということになります。

時は進み1500年代、ワインの正しい造り方を残そうとしたのが、エンポリの隣村で生まれたレオナルド・ダ・ヴィンチだったと言われています。彼の父はワイン生産者で、バッケレートの畑とヴィンチ村で84個の樽を使ってワインを造っていました。

こうした功績も手伝い、エンポリ周辺では地域の主要作物としてワイン生産が何世紀にもわたって続いたのです。

 

価値が認められ、丁寧なワイン造りに専念

▲パレンティーニの畑

近代では195060年代にかけては大量のワインが生産されるようになり、トスカーナの海沿いの地域を中心に、その他の地域でも販売されるようになりました。この頃は商業的にワインの価格が見直された時期で、沿岸部で需要の高かった白ワインの価格はもちろん、赤ワインはよりいっそう高く売れるようになったそうです。

現在のエンポリでは近現代の科学技術の進歩のおかげで、より品質のよい、洗練されたワインを造ることが可能になりました。DOCGキャンティ(1984年)やDOCビアンコ・デッレ・エンポレーゼ(1989年)が認められ、そしていわゆる「スーパータスカン」と呼ばれる従来の伝統に固執せず自由なスタイルを追求するIGTワインを生産できるようになったのです。

最後にリッカルドさん「この30年間は、我々は非常に高いレベルのブドウ栽培の発展を目の当たりにしてきました。これはとりわけポテンシャルの高い献身的なワインとなりました。生産者がますます手入れの行き届いた、心地よいワインの生産に専念したことによります。この発展の過程で、我々のワインを世界中に販売する可能性を示してくれた市場にも助けられたからなのです」と話してくれました。

 

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いかがでしたか?

エンポリでは古くからあるワイン造りをただ受け継ぐだけでなく、文化的に価値あるものとして高め、立地を生かして広げ、経済的なバランスもうまく保ちながら、潤った分でより良いものを生み出そうと堅実に積み重ねてきたのだろうなと感じました。こうした土地の基盤が、きっと造り手の個性・哲学を支えているんですね。

 

今後もワイナリーのそれぞれの土地のお話し、していきたいと思います。ではまた~!

(文:宮丸明香)

 

【関連ページ】

▶Tenuta Parentini(テヌータ・パレンティーニ)

 

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