オットーネ通信(番外編)ファットリア・ナンニ 2021春~初夏のレポート
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先日マルケ州アピロのワイナリー、Fattoria Nanni(ファットリア・ナンニ)のロベルトさんから、2021年春~初夏にかけての畑仕事をまとめたレポートが届きました!
4月にヨーロッパを襲った寒波や、生育期の降雨量の少なさが特徴だった2021年ですが、レポートからはそれらに対する柔軟で細やかな対応を垣間見ることができます。どうぞご覧ください。
今回は、冬の間にブドウの木の剪定&畑と周辺の土壌を整える作業を行ったあとのお話しです。前回のレポートはこちら
3月。昨年朽ちてしまった木「ファッランツェ」に代わり、畑に若い苗木「バルバテッラ」を植えました。(「バルバテッラ」とは、フィロキセラ耐性のあるアメリカ原産の台木に蕾が付いた枝の一部分を接ぎ木したもの。接ぎ木部分はナンニの畑で収集した枝を利用しています。)畑の状態を維持し、生産性を均一にすることが目的です。
同じ時期に雑草の種まきも行いました。土壌表面を緑で覆うことで、水分の蒸発を予防し保湿力を高め、同時に畑の生物の多様性を育みます。
↑ 新芽(新梢になっていきます)が軸となる1本の枝から出てきたところ。
冬の間の気候を振り返ると、気温は平均よりも高く、過ごしやすい日が続き、4月まではしっかりとした降水量があったとのこと。
ところが!!
4月6日の夜に突然気温が下がり、全く予測もしていなかった雪が。。。
真っ白に雪が積もった畑の眺めは素晴らしいのですが、成長を始めていたブドウの木にとっては大きなダメージとなりました。その結果、生産性が低下し、生長が遅れることとなりました。
アクシデントに見舞われながらも、春の終わりには、畑で大規模な作業を行いました。ブドウの木に後から出てきたむだ芽を取り除く作業です。芽を摘むことで、先に出た新芽(のちに新梢となる)の効率的かつ健康的な成長を促します。
また新芽を垂直方向にワイヤーに結びつける作業を2回に分けて行いました(2回に分けるのは、夏の生長が著しいため。1度目は10cmほどの時に、2度目は50cmほどになった時に行います)。葉がワイヤーの内側に茂るように調整することで新梢を支え、枝が下がったりして傷がつかないように、垂直方向への生長を促します。
5月下旬から6月上旬には、ブドウの花が咲きました。白い小さな花で、数ヶ月後にはブドウの房となる骨格をこの頃から既に形成しています。
開花の時期が過ぎると、気象状況が大きく変化しました。温暖な春の気候から暑さを感じる気候へと移り変わり、雨はほとんど降らなくなりました。特筆すべきは5~6月の2ヶ月で、合計でたった 40mmの降水量しかなかったということ。
例年であれば、この時期はブドウの木は勢いよくぐんぐんと生長する時期。しかしながら、今年はその勢いがちょっと弱い。そこで樹木の列から飛び出した新梢の先を切り取る作業を行いました。一旦、形を元に戻して整えつつ、新たに伸びた新梢の生産性を高めるのが目的です。この作業によって光合成の効率がよくなり、ブドウの成熟を促すことができるのだそうです。
ブドウが生長する間に、雑草の刈り込みを3回実施。土壌により多くの栄養を生み出し、ブドウの木により多くの水分を与えるための作業を行いました。
春~初夏のレポートはここまでです。
一つ一つの工程にきちんと意味を宿してブドウの栽培に向き合うロベルトさん。
時として思いがけない事態をもたらす天候、それに伴うブドウの生育状況をしっかりと捉えながら、畑やブドウの本来持つ力を引き出そうと手を尽くすその姿勢から、アピロの土地への愛情や、私たち消費者への誠実さを感じることができます。
2021年、こんな1年だったよなと思い出しながら仕上がったワインを味わうのも、また楽しみですね。
ロベルトさんGrazie!!
(文:宮丸明香)
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