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オットーネ通信(第28回)
英雄的ブドウ栽培とロエロの誇りが生んだロエロ・リゼルヴァ モリナルド

こんにちは!イタリア現地で愛されるナチュラル&ピュアなワインをお届けする【オットーネ】です。当サイトへお越しいただきありがとうございます!

今回のオットーネ通信では529日の試飲会で最後にお試しいただくピエモンテ州ロエロ地域のワイナリーMario Costaの最高級ワインについてご紹介します。

Mario Costa(マリオ・コスタ)社

Roero riserva D.O.C.G. Morinaldo
(ロエロ・リゼルヴァ モリナルド)

初めてこのワインをいただいて、「格別」という言葉がぴったりだと感じました。香り高く、果実感とエレガンスの調和した豊かな味わいは、まさにマリオ・コスタの傑作と言える一本です。

このワインを生んだモリナルドは、実は非常に困難のある畑。今回の記事ではその山あり谷ありのエピソードをご紹介するとともに、この畑の特徴にも現れている「ロエロらしさ」について、同じネッビオーロで造られるDOCGのバローロやバルバレスコと比較しながらその魅力を探ってみます。

それではどうぞご覧下さい。

「英雄的なブドウ栽培」と呼ばれるほどの難所で

さてまずは、このワインを生むモリナルドの畑がどのような土地なのかについてお話しします。

ピエモンテ州クーネオ県カナーレのモンタ村にある畑・モリナルドは現在マリオ・コスタのみが所有する畑です。実はここ、現地の人々やマスコミから「この畑でブドウ栽培をする者は英雄だ」と呼ばれるような場所。かなりハードな環境でブドウの栽培が行われているからです。

モリナルドの畑の厳しさは、その地形と地質にあります。畑までのアクセスルートの険しさや、急勾配の斜面、降雨量の少ない谷間に位置し、土壌はいとも簡単に崩れ落ちそうな砂利の砂地――この畑での作業は常に危険と隣り合わせです。

このような特殊な土地のため、2000年代初めまでは、機械を入れることもできず、全てが完全に手作業で行われていました。約1.5ヘクタール(15000㎡)という畑の面積を考えると、当時は本当に大変な仕事だったことは容易に想像できます。。。

畑の先買権を持っていたスカーリア家がそれを放棄したのも、この畑の管理の難しさのためでした。コスタ家でもこの畑の購入に関しては現当主のジュゼッペさんとルカさんのおじいさんと父親との間で論争が起こったのだとか……。結局はおじいさんの粘り勝ちで畑の購入に至ったそうです。

モリナルドの畑は南西向きということもあり、ブドウのポリフェノールを完全に熟す力があると見込んで、ネッビオーロが植えられました。(現在はバルベーラも栽培されています)

ロエロの砂質土壌で育つ果実味に富む親しみやすいネッビオーロ

▲ランゲ地方のワイン産地の位置。紺色がロエロ、濃いピンクがバローロ、グレーがバルバレスコ。間にタナロ川が流れる。http://redredwine.blog.jp/archives/22127127.html よりお借りしました。

ここまでモリナルドの畑は急斜面で砂質の土壌が特徴とお伝えしましたが、実はこれがロエロの土壌の大きな特徴ともいえます。そしてこれが、バローロやバルバレスコとは異なる魅力を生み出す要因ともなっているのです。

ポイントとなるのはランゲのエリアを通ってポー河へと注ぐタナロ川のどちら側にあるかということ。

バローロとバルバレスコはタナロ川の右岸に位置しています。土壌は重めの泥灰質。マグネシウム、マンガン、鉄分などが豊富で、しっかりとした骨格と複雑な味わいを持つワインが生まれます。一般的に、バローロは酸やタンニンが強く厳格で重厚な印象、バルバレスコは優美で繊細な印象のワインとなる傾向にあります。時間をかけてゆっくりと熟成させることで一層深みを増していきます。

一方のロエロは、タナロ川の左岸に位置し、土壌は砂質です。これははるか古代にロエロが海底であったことに由来しています。数千年かけての地殻変動により隆起し、起伏に富んだ地形となりました。またタナロ川に向かって南向きの畑が多いこともあり、日当たりが比較的よく、果実が熟しやすい傾向にあります。するとロエロのワインは、バローロやバルバレスコと比較して、より果実味に富んだ親しみやすい印象のワインとなります。早い時期から飲めるものが多いのもロエロの特徴です。

ということで話を戻すと、モリナルドの畑は、ロエロの特徴をよく兼ね備えた土地だと言えます。

エレガンスと骨格を最大限に発揮し、ロエロの可能性を表現

▲中央のオーク樽で熟成中。

「ロエロ・リゼルヴァ・モリナルド」はロエロの土地のポテンシャルを存分に表現するために造られたワインです。生産は優良ヴィンテージのみ。

アルコール発酵終了後も30日ほど続く長いマセラシオンの後、わずかにローストした10hlのオーストリア産のオーク樽で2430カ月、さらにボトル内で12カ月と、少なくとも3年間は熟成されます。

この熟成によって、ネッビオーロ特有の香りと果実味を損なわずに、エレガンスと骨格は最大限まで高められます。

▲Mario costa WEBサイトよりペアリングの例。

色は濃厚なルビー色にオレンジのトーンが入ったガーネット色。香りはスミレや熟したブラックベリーやブラックチェリーなどの果実、シナモンなど、実に複雑で豊か。ふくよかな甘みを感じ、タンニンはきれいに溶け込んでいて、余韻も長く楽しめます。今のままでも素晴らしいですが、数年後のさらなる伸びにも期待が持てます。

合わせる料理はピエモンテでは頻繁に食べられているウサギ肉のパテのカナッペ、アニョロッティなどの詰め物パスタや、風味の強いカステルマーニョ・チーズのニョッキ、リゾットなどのプリモピアット、そしてこのワインの持つバルサミコのような香りに合わせて鹿肉の煮込みなどジビエ料理にもぴったりです。

困難とされていたモリナルドの畑でのブドウ栽培を確立し、ロエロの可能性を存分に表現するワインを生み出したマリオ・コスタ。このロエロ・リゼルバ・モリナルドは、彼らの真髄を感じられる、土地への強い思いと誇りの詰まった一本です。ぜひ味わってみてください。

試飲会当日は、同じ畑のネッビオーロで造るアンカント(ロゼ)、ランゲ・ネッビオーロ(赤)も一緒にお楽しみいただくので、ネッビオーロという品種の持つ多彩な魅力をお楽しみいただけるかと思います。ご都合のつく方はぜひどうぞ!

それではまた!Grazie! 

(文:宮丸明香)

ワイナリー:マリオ・コスタ
原産:ピエモンテ州/カナーレ県
品種:ネッビオーロ100%
格付け:D.O.C.G.
内容量:750ml
アルコール度数:15%
タイプ:赤
参考上代:8,800円(税込)

★ご購入はこちら★
https://ottone.stores.jp/items/60abbcfd1945c75f92450882

 

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